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ショートフィルムはコマーシャルの新しい形になるのか?

コマーシャルは視聴者にとって定期的に目に入ってくるものであり、無視するのは難しい。いろいろな手を使って目に入らないようにしたとしても、完璧に無視はできない存在だ。

長い間視聴者はコマーシャルというものを、「邪魔なモノ」としてしか見ていなかった―盛り上がっている所で邪魔をするもの、映画の前のワクワクしているときに目にはいってくるものとしか思っていないのだ。

昨今視聴者が生で映像を見る機会が少なくなり、同時にコマーシャルも今まで程の効果は見込めなくなってきた。広告のトレンドはオンライン動画にシフトし始めたのだ。

オンラインで動画をダウンロードして鑑賞する視聴者は圧倒的に増えてきた。ブランドもそういった人々の動画へのアプローチの仕方の変化に伴い、人々が見たい内容の動画をオンラインで展開するようになってきたのである。

 

長尺の広告

 

 サッカーのファンか否かは関係なく、2014年に公開されたNIKEの『The Last Game』は素晴らしいブランデッドムービーであるといえよう。当時のサッカー業界のスターであった、ロナルド、ネイマールを起用したこの動画は一瞬にして話題となり、600万もの視聴数を誇る、それはNIKEがスポーツチャンネルESPNで大々的なプロモーションを行ったのも飛躍的な視聴数の増加に拍車をかけたのは言うまでもないだろう。

ではなぜNIKEはこのアニメーションをブランデッドムービーとして制作したのだろうか。

人々はインターネットに触れる時間が数年前とは比べようがないほど長くなり、そんな視聴者に拡散されるようなブランデッドムービーが効果的であると、Digital SurgeonsCEODavid Salinasは語る。テレビCMの間で他ブランドの短いコマーシャルの中でいかに注目を集めるかを考えるより、長尺でも見てもらえるようなオンライン動画の方が、人々に届くチャンスがあるのだ。

 

 

イギリスのアイスクリーム会社Cornett oのブランデッドムービーも長尺のよい例であると言える。『Cornetto Cupidity Love Stories – 40 Love』は二人の女性同士のラブストーリーである。ブランデッドムービーだが、商品のアイスクリームは作品の最後に少ししか映っておらず、ストーリーも何の関係性もない。しかしそれがまた視聴者に響いたのだ。Adweekは、「商品を広告の最後に紹介するのは避けるべきだともいう。しかし広告がエンターテインメントとして価値の高いものであれば、消費者とのエンゲージメントも生まれるのだ」と評価している。

 

 

 

 

 

広告の未来

 

長尺のブランデッドムービーで成功したのはこの二つ企業だけではない。Video  Monetization ReportFreewheel社)によると、長尺のブランデッドムービーは前年比の86パーセント増加した。(2014年時)いまだにマーケッターは、ミレニアル層は注意力が長く続かないと考えており、「短くてかわいいもの」を伝えようとするが、大事なのはビデオの長さではなく、ストーリー性に長け、如何に視聴者が注目するか、なのである。

前出のSalinsa氏はこうも付け加える、「長尺の広告を作れば顧客が来る、と信じている人も多くいるがそうではない」

昨今、映画のディレクターやプロデューサー、スターを起用したブランデッドムービーが多く作られている。しかしそれは視聴者の注目を得る、ということを目的としているものが多い。影響力のある人物の起用、SNSでの広告により拡散することで多くの予算を使っているブランドが多い。

ブランデッドムービーの企画はどうあるべきか?何を伝えたいのか?そういったブランデッドムービーの内容自体の設計にもきちんと投資を有効的に行い、人々にブランドの「物語」を伝える事、それが広告の未来に繋がるのである。

 

 

 

出典元) Contently

Are Short Films the Future of Commercials?

 

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