今日、今まで以上に、パブリッシャーと企業は、デジタル動画によって利益を得ることができることを実感している。
動画の作り方、発信する広告媒体が無数に存在する中、その先に広がる無限の視聴者に向けて、パブリッシャーたちはオリジナルなコンテンツを用いて、如何に自分たちのメディアに人を集めるか、を模索している。動画による広告収益は今や全体の20%を占め、オンラインの視聴回数自体も増加し、視聴者も多くの広告を見るようになっている。2019年までにはオンライン動画はインターネットと介して送受信される情報の80%を占めるだろうと言われている。
企業にとっては、動画はブランドの認知とエンゲージメントを生み出すだけでなく、ECサイトで実際に商品を購入するかどうかを決める決定打にもなっている。実際、3分の2のユーザーが、動画を視聴した後に商品を購入しており、逆に動画を使わない企業は25%ものユーザーの興味を失っている。動画はミレニアル世代に特に重要であり、この世代の80%もの人が、何かを購入するときに動画を見てから決める、としている。
つまり、どんな業種・業態だったとしても、企業は自社のための「動画プロデューサー」になるべきなのだ。ここでインパクトがあり、オリジナリティあふれる動画で、企業のROI(投資利益率)を上げるための秘訣を挙げる。
オンライン動画は巨大スタジオ級の予算もスケジュールも必要がない
動画を制作するためのツールや機材は比較的安価で手に入るようになり、ROIを高めるための、リアリティの高い動画に、予算をそこまでかけず制作することが可能になった。しかし、制作とはチーム一丸となってコミュニケーションして、コンテンツを作り上げる必要がある。
パブリッシャーは、スポンサーの条件の中で動画は作るべきではない。オリジナリティあふれるコンテンツを制作することで、スポンサーとはおのずとついてくるものである。マーケッターは、映像制作会社だけが質の高いブランデッドムービーを作るとは限らない。しかし経験者を加入させることは重要である。スタッフの配置に気を配り、毎日のように起こるような規模の小さいコンテンツは少人数のチーム、大きなプロジェクトはより大人数のチームを形成するべきだろう。
その他の注意点としては以下の通り。
・機材をレンタルするか、購入するか。自社の中で将来的にインハウスの制作チームを持つことも想定して判断するべきである。
・撮影時には、様々な目的に対応できるように撮影スケジュールを組むべき。同じスタッフで、クリップ用やB-ロール (作品本編用ではなく、メイキングなど付属映像用に別撮りをすること)などを撮影することで、より予算と時間が削減できる。
・継続的に効果の高いコンテンツか、タイムリーなコンテンツを制作するか、目的を見定めるべきである。
UGC(ユーザーによるコンテンツ)動画コンテンツの可能性
ユーザーによって制作された動画は、効果的にユーザーとエンゲージメントでき、継続的に視聴してくれるようになる。それはユーザー同士でシェアをしあう現象が生まれ、結果ROIを向上されることへと繋がるからだ。動画を作ることに興味のあるユーザーは、自分たちのアイデアを、動画を通して企業に提供することを好んでいる。パブリッシャーと企業は初めに、彼らのソーシャルメディアコミュニティにリーチするべきである。そして彼らの「言葉」で、きちんと彼らのコンテンツがどのように使われるかを示すべきである。
- ユーザーから動画コンテンツのレビュー、推薦を集める
- イベントに参加したユーザーの動画を使用すること
- 商品を取り扱う参加型イベントや、トピックを論じたり、ユーザーが醸成できるコンテンツを作ること
動画にインパクトを持たせる
尺の短い動画は、時に長い動画より効果的に使われることがある。Ooyala社が2015年に発表した「パブリッシャーネットワークにおいて、最も人気のあった動画コンテンツ」によると、人気コンテンツの95%が5分以下の長さで、その中のほとんどを約2.5分程度の動画が占めていた。
また同年のLivecliker の調査によると、オンライン動画コンテンツの平均コンバージョン率はアメリカとヨーロッパにおいて最も高いものの、30秒の動画が9%に対し、3分の動画が5%となっている。
・ユーザーが注文する一人当たりの平均額は、1つの動画を見る場合に比べ、10の動画を見る場合の方が2倍にもなる。
・ECサイトのコンバージョン率は、動画掲載のあるサイトが9%なのに比べ、動画掲載が少ないサイトは5%程度である。
動画に一貫性を持たせる
企業が最大の利益を得るためには、すでに存在しているデジタルとブランドとしての経験をもとに制作を行うべきである。マーケッターにとっては、ユーザーが思い通りの行動を喚起させるようなストーリーを伝える事。パブリッシャーは、コンテンツを作り続け、ユーザーを知るためにどんなコンテンツが収益に繋がるのかをデータ分析すること。また定期的な配信はユーザーに期待感を持たせる。
その他の要素としては以下が挙げられる。
・多種多様な動画を混ぜ合わせることで異なるユーザーへのエンゲージメントが期待できる。ただし統一されたトーンでブランドメッセージは伝えるべきである。例えば企業は、商品のデモ映像や商品の制作過程、企業方針、その裏に隠されたストーリーなどである。またパブリッシャーで言えば、インタビュー、裏話なのであろう。
・ユーザーが動画を見る環境・プラットフォームはあらゆる可能性を想定して制作するべきである。
・SEO対策は怠らず、またあらゆるユーザーが視聴することを想定し、キャプション、タイトルなど、注意して制作するべきである。
成功のための分析
動画アナリティクスを用いることで、自社が制作した動画のROI効果測定を行い、その結果で今後のストラテジーやKPIを設定することができる。動画に対して分析が可能なのは、視聴回数、視聴時間、視聴完了率、シェア数などである。それ以外の分析の活用は以下が挙げられる。
・ユーザーの過去購入歴、どんなデバイスで視聴したか、そして時間帯などを分析し、効果的なコンテンツを届けること
・動画のあるページとないページの比較
・レコメンデーション機能などをつけ、似ている他のユーザーが興味を見せることで、新しいコンテンツに誘導する
・A/Bテストによって最も効果的なビデオ(動画の設置場所や尺など)を決定する
オリジナル商品のハウツー動画をウェブサイトに上げたとある企業は、Ooyala社の調査結果で、成功した動画と成功しなかった動画を分析し、結果購入へのコンバーション率が87%まで上がった。
ROIの上昇を目的として動画をつくることは容易になってきた。ユーザー、ブランドそのものを理解し、ツールを使うことで、ゴールを成し遂げる事ができるようになったのである。
出典元)Chiefmarketer
Building ROI with Original Video Content