Interviewインタビュー

  • TOP>
  • Interview>
  • 【Branded Shortsスペシャル対談】“アイデア、ストーリーテリング、シネマチック、エモーショナル”

【Branded Shortsスペシャル対談】“アイデア、ストーリーテリング、シネマチック、エモーショナル”

業界紙として広く認識されているCM通信に、BRANDED SHORTS 2016 においてBranded Shorts of the Year ナショナルカテゴリーを受賞した「早稲田アカデミー「へんな生き物」篇」でプロデューサーを務めた上野弘之氏(ロボット)とBranded Movie Lab の諏訪慶の対談インタビューが掲載されました。

 

(ユニ通信社「CM通信」20161020日号より)

 


 

国際映画祭としての“らしさ”を追求=選定基準となる4つの視点

 

SSFF & ASIAは、企業や行政がブランドメッセージを映像によって発信するブランデッドムービーの制作増加や国内の動画マーケティング市場の拡大を受けて、“日本がアジアにおけるブランデッドムービーの発信地となること”を目指し、新しいカテゴリー「Branded Shorts」を立ち上げており、今年のSSFF & ASIA会期中に、第1弾プログラムとしてカンファレンス「動画を活用したグローバルマーケティング」を実施した。その「Branded Shorts」をプロデュースするのが、ショートショート実行委員会/チーフ・プロデューサーの諏訪慶氏(パシフィックボイス)。

 

諏訪氏:ここ数年、企業がコンシューマーとのコミュニケーションを図る手段として、動画の活用が急増しています。その呼称も、Webムービー、ブランドムービー、ブランデッドコンテンツ、動画広告、プロモーション動画など多岐にわたり、その役割や機能も様々。内容や方向性に関しても、ストーリー性があるもの、驚きや笑いといったインパクトを重視したもの、TVCMのロングバージョン的なものなど多種多様です。SSFF & ASIAでは、“ブランデッドムービー”というジャンルに着目し、国際映画祭としての“らしさ”を追求した結果、4つの視点を大事にすることとしました。それが「アイデア」「ストーリーテリング」「シネマチック」「エモーショナル」。そして、それらを守った、大事にしたブランデッドムービーをカテゴライズしたのが「Branded Shorts」という新しいプロジェクトです。

 

Mr_SUWA

ショートショート実行委員会/チーフ・プロデューサーの諏訪慶氏(パシフィックボイス)

 

“広告でありながらも、広告的ではないものをつくる”

 

今年のSSFF & ASIAで行われたカンファレンスでは、第1回「Branded Shorts of the Year」を決定。上映作品から選ばれるナショナルカテゴリー(国内作品)は、早稲田アカデミーによるブランデッドムービー「へんな生き物篇」(Ag+Pr:アサツー ディ・ケイ+ロボット/Dir:柴田大輔氏)が受賞した。プロデューサーは上野弘之氏(ロボット)が務めた。

 

上野氏:早稲田アカデミー「へんな生き物篇」は、とても“まれ”な仕事でした。そもそもの発端は広告ですが、クライアントによる「競合他社がやっていないコミュニケーションをpresented by 早稲田アカデミーといったカタチで、人々(特に母親層)の心を動かすようなエモーショナルなムービーができないか」というオーダーが、大きな原動力となりました。そこから、“広告でありながらも、広告的ではないものをつくる”という取り組みがスタートしました。スタッフ全員、「作品」を創り上げるという意識が強かったですね。エモーショナルな作品をきちんとつくる→広告効果につながる。そこが1つの線上にあった。その意味で、“普遍性のある壮大なフィクション”を狙いに、映画とCMのスタッフをハイブリッドさせた座組とし、クライアントの熱量と狙いを、最後まで損なわずに映像に定着させるためのストーリーづくりには手間も時間も掛けました。

 

Mr_UENO

「へんな生き物篇」プロデューサー上野弘之氏(ロボット)

 

完全視聴率の高さ・離脱率の低さが重要=1つに指標に

 

ブランデットムービーをはじめとする動画制作では、SNSでのクチコミを前提に、話題性・拡散性が重視されるケースが多い。

 

諏訪氏:実際、「ブランデッドムービーをつくりたい」という相談はすごく多い。課題解決を目指す中で、KPIはどこなのか、については毎回思案します。現状、ブランデッドムービーというジャンルはまだ創生期の域を出ていないこともあり、クライアントもクリエイターもその「効果」については明確な指標が持てていない気がします。例えば、「Buzzを起こしたい」というリクエストがよくあります。“いいもの”をつくっただけでは、思い描くBuzzはほとんど起こりません。そのために特化したプロモーションが必要になります。「映像そのもの×話題化するための施策」という掛け算が上手く世の中に影響したとき、「話題」「拡散」が派生する。また、動画共有サイトでの再生回数、SNS等でのシェア数が本当に指標になりうるのか、についても少し疑問があります。完全視聴率の高さ、離脱率の低さが重要だと捉えています。ムービーを最後まで見ることで、企業や自治体が伝えたいブランドが視聴者としっかりとしたエンゲージメントを結ぶ、と考えているからです。

 

上野氏:方程式が無いことが広告/映像制作の難しいところ(そこが醍醐味でもありますが…)。一口にブランデットムービーと言っても、どれくらいの数や範囲を成功とするのか、ターゲットの違い、実施範囲の広さ・大きさなど、まさにケース・バイ・ケースです。日本全国津々浦々を目的としたものもあれば、限られたターゲットでの反響・アクションに結実することを目的とした映像もある。とは言え、現場の最前線で“ものづくり”を行うことがメインの制作部も、そうした「効果」を見据えながら、クライアントやクリエイティブの人たちと意見交換していくことは、今後ますます重要になってくると思っています。

 

Branded Shorts=あらゆる映像制作者が参加できるフィールドに

 

SSFF & ASIAが立ち上げた新しいカテゴリー「Branded Shorts」。その独自性を表すのが、4つの視点(アイデア、ストーリーテリング、シネマチック、エモーショナル)。1999年の発足以来、数多くのショートフィルムを評価・紹介してきた国際映画祭ならではの選定基準を通じて、企業や自治体によるブランデットムービーの「作品性」を評価するのが大きなポイント。

 

上野氏:クラフトとしてのストーリーテリングや世界観、クオリティがブランディングに寄与しているかどうかを見てもらえるのは、映像の作り手としてモチベーションが上がります。そして、それは新たな「機会」を生むことにつながっていくはず。表面的な表現ではなく、物語を表現してるか。そこはブランデッドムービーとしての善し悪しの分岐点になる気がします。

 

諏訪氏:作家性に基づいた“短編映画”だけでなく、企業・自治体によるブランデッドムービーでも、ブランドの背景や見ている人たちの気持ちに作用するような演出などがきちんと存在していれば、たとえ広告ベースだったとしても私たちは“ショートフィルム”だと考えます。映画、CMWebムービー、PV…等々、ジャンルは違えど、制作スタッフは条件や目的を踏まえた上で常に最大限のチカラを注ぎ、ベストを尽くそうとチャレンジしている。その観点から言えば、広告であっても完成した映像には「作品性」が内在しているのでは、と。「Branded Shorts」では、それを「アイデア」「ストーリーテリング」「シネマチック」「エモーショナル」という4つの基準で評価し、クライアントを含めた制作者に拍手を送りたい。ひいては、あらゆるクリエイターや映像制作者が参加できるフィールド/交流の機会として機能するとともに、“新しいもの”が生まれる場となるように盛り上げていきたい、と考えています。

 

2shot

 


 

SSFF & ASIA 2017 Branded Shorts」公募ページ

 http://www.shortshorts.org/2017_call_for_entry/ja/brandedshorts.html

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ご意見、感想、取材の依頼、仕事のご依頼、その他、お問い合わせはこちらよりご連絡ください。