ある調査では、消費者の61%が「企業のサイトに、広告ではなくブランド独自の視点から制作されたコンテンツを持つブランドの商品を買うことが多い」という結果が出ています。では、自社の独自コンテンツ以上に人々が好む唯一のものとはなんでしょう?
それは、ブランドが自分を“楽しませてくれる”感覚です。
責任や重苦しいニュース、支払いの請求書であふれ返る世の中。うんざりするような毎日を抜け出すためにあるのがエンターテインメントです。ブランドが消費者にとってそんな現実から逃避できる、「天国」になれたとしたら、顧客はこの先ずっとそのブランドのものになるでしょう。
ブランデッドエンターテイメントは、動画を用いたビジネスの中でもとりわけ効果的な方法です。活用すれば様々なメリットが得られ、これまでとは一段違ったマーケティングキャンペーンが実現します。皆さん、さっそく動画マーケティングの扉を開いてみましょう。
ブランデットエンターテイメントとは?
ウィキペディアの解説をみてみましょう:
「ブランデッドコンテンツ、あるいはアドバテイメントとも呼ばれる。ブランデッドエンターテイメントとは、ブランドのマーケティング戦略の予算を使い、補完・強化のために制作されるエンターテイメントベースのツール。
その目的は、ブランドとオーディエンスを結びつけるためにエンターテイメントならではの方法で感情を掴むこと。メディアを通じて人を楽しませるストーリーを発信し、コンテンツに触れブランドを体験したオーディエンスのポジティブな感情を繋いでいく。」
ブランデッドエンターテイメントがもたらす効果
多くの企業は、クリエーターやアーティスト、メディア企業と協力してブランデッドエンターテイメントを制作しています。そういった外部との協力は、本当に心を掴むコンテンツ作りの鍵となります。クリエイティブの専門家を起用せずに、社内チームから期待できる創造性には限度があります。
クリエイティブ業界で活躍する人なら難なく出来そうなことでも、変化が乏しい、色気のない業界にあってはそう容易くではありません。あるいは本当のところ、クリエイティブのプロにとってさえ、自分達のブランドが持つエンターテイメントコンテンツを作ることは往々にして難しいものです。そう、自分のためにクリエイティブであることよりも、他人のためにクリエイティブであることの方がよっぽど簡単なのです!
人に伝えるストーリーは、誰もが持っているものです。そんなことはないと感じる人は、おそらくここでの問題を正しく捉えられていません。さらに言えば、一人ひとりのストーリーにはそれを心底聞きたいと感じるオーディエンスが存在するのです。
自分のストーリーを知り、それを待っているオーディエンスを知ることができれば、生みだされるブランデッドエンターテイメントは大きな成果上げるでしょう。狙いに適ったブランデッドエンターテイメント作りはブランドに様々な効果をもたらします。
力強いブランドストーリーを作る
各ブランドが打つ全ての広告キャンペーンの先には一つのストーリーが展開していなければなりません。ストーリーの起伏、キャラクター、事件の展開といった要素がブランドが持つもつ力を強めます。
ブランデッドエンターテイメントを作るということは、突き詰めればストーリーテリングの技術を用いることです。その過程では当然、ブランドがどれほどの材料を持っているかが問われます。結果的にブランドストーリーの説得力が増し、追及する価値やメッセージ、ミッションにしっかりと照準が定まった印象が生まれます。
インフルエンサーがシェアするコンテンツを作れば、彼らのオーディエンスがブランドのオーディエンスになる
この時代、高品質な映像を作るためにハリウッドばりの莫大な予算は必要ありません。また本物のセレブを起用しなくても、多くのオーディエンスの力を引き出すことが可能です。デジタル時代が生み出した多くの“マイクロ・セレブ”が一から築き上げた何百万というファンがいるからです。
企業はインフルエンサーと呼ばれるネット上の有名人と繋がることで、書き込みに余念がないファン達のネットワークを活用するということができます。専用にデザインされたプラットフォームを使えば、中小ビジネスでも簡単にプロセスを実現することができます。
何より、インフルエンサーはシェアできるコンテンツを求めています。つまり共生の発想でアプローチすれば、大きな影響力を味方につけることはそれほど高い壁ではないのです。
ターゲットオーディエンスをカバーするインフルエンサーを見つけることで、ブランドは成長し、飛躍的にリーチを広げることが可能です。
人々が関心を持つ理由を提供する
Ogilvy & Mather はこの効果を「感情の絆」(=エモーショナル・エンゲージメント)と呼んでいます。エンターテイメントには人の想像力を掴む性質があります。想像力を掴めば、ブランドは“気になるブランド”になり、観る人の行動を促し、さらにはオープンな話題になっていくのです。
この手の絆を好まないブランドは世界中で見たことがありません。
現在あるブランデッドエンターテイメントの例
ここで優れた拡散動画の例をいくつか紹介しましょう。ブランデッドエンターテイメントには拡散というポテンシャルがある一方で、それが最終目的ではないということを忘れないでください。コンテンツが拡散すれば幅広いオーディエンスの関心を引くことができますが、ブランデッドエンターテイメントが目指すものはより深いアプローチであり、長期的なブランド力の構築です。
THE LEGO MOVIE(LEGO® ムービー)
LEGO® ムービーやマーベル制作の映画を見た後に、これが実は2時間もある広告だったと感じる人がいるでしょうか?
LEGO®やマーベルの映画は、ブランデッドエンターテイメントの完璧な事例です。オーディエンスを惹きつけ、企業との感情的なつながりを生みます。ここまで極端でなくとも、ビジネスの現場ではこれと同様の発想を使うことができます。人とアイディアを活かしてブランドを成功に導くために、どのようなストーリーテリングができるでしょうか。
ダヴ「リアルビューティー スケッチ」
この映像が大変効果的な理由は、人の心の琴線に触れ、また大多数の女性が自分を重ね合わせる内容だからです。
この動画を通じてダヴはカーテンを開き、理想の消費者に向けて、まっすぐに大切なメッセージを伝えています――それはリアルな、日常を生きる女性たちです。
エンターテイメント動画を使って企業の深いメッセージと価値を売り込む、他の例も見てみましょう。
OLD SPICE(オールドスパイス)「あなたの男は、この男の香りになれる」
男性用化粧品ブランドのオールドスパイスが作った1本のキャンペーン映像ですが、これが大注目を浴び、ブランドは続編の制作製作を決めました。そこから生まれたのが、SNSでオーディエンスのコメントを集めそれに応える“レスポンスキャンペーン”。次々と動画が作られました。
こういったアプローチは、皆さんのストーリーテリングに応用できるものです。初めから完璧なストーリーを見出そうなどと背負って立つ必要はありません。様々な事を試す中で、自分たちのオーディエンスにヒットするものを探せばいいのです。ベストフィットするものを見つけたらより大きく打ち出し、ストーリーの続きを作りましょう。
ブランデッドエンターテイメントを導入するには
ハイレベルな事例を見て盛り上がったところで、皆さん自身のブランドのブランデッドエンターテイメントを作る方法を考えていきましょう。各段階には大変に細かい項目がありますが、ここではシンプルにステップ1、2、3に分けて説明します。
1.キャンペーンのゴールを設定する
マーケティング活動には明確なゴールが必要です。新製品の販売数を増やしたいのか、あるいは特定の顧客層からのブランド認知度を高めたいのか?実際に動き出す前には、目的とゴールを明確にするための時間が必要です。
この時間を軸に、この先の全てのステップが進んでいきます。
達成したい目標は何でしょうか?
2.エンターテイメントなアイディアを練る
社内チームと外部パートナーを交えてブレーンストーミングを行います。ブランドストーリーのコンセプトを考え出すのは非常に楽しいパートです。
ここは楽しんで進めましょう。リラックスした雰囲気を作り、使いものにならないようなアイディアでもどんどん皆で議論していくうちに、会社を大きく変えるダイヤの原石が見つかるはずです。
3.コンテンツを作り、発信する
映像のクオリティが低いと、大反響の可能性から遠ざかります。やるからには資金を投じ、しっかりと目的達成を目指してください。ハイクオリティなコンテンツを作るためのチームを探す際には以下の条件が重要です:
・ストーリーテリングをよく行っていて、経験が十分にあること
・過去の映像作品が受賞していること
・ブランデッドエンターテイメントの制作経験があること
最適なパートナーが見つかると、制作の始まりから終わりまでサポートしてくれます。制作段階において、知識豊富なチームから得られる力を低く見積もってはいけません。
またそのチームが、皆さんの企業とブランド、オーディエンスにとってキーとなる要素を見極める手段を持っていることも大切です。ターゲットを知り、その人々と繋がるためのクリエイティブなアイディアを提案してくれることが、キャンペーン成功のために非常に重要です。
出典元)TAR
What is Branded Entertainment (And Why Should You Care)?