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    アウディジャパン、コーセー、アクサ生命保険、カナダ観光局~ブランデッドムービーという手法/具体的な制作、運用、検証方法について

第1回ブランデッドムービー研究会レポート Vol.2~企業のケーススタディ:
アウディジャパン、コーセー、アクサ生命保険、カナダ観光局~ブランデッドムービーという手法/具体的な制作、運用、検証方法について

アウディジャパンの「3.2CM」は、ユーザーが多様な場所でCMに触れられるよう動画を1パーツとして使う試みである。ブランデッドムービー「Audi-The Comeback」は、自動運転とAudiを関連づける効果があった。またオウンメディアの運営経験から、冒頭のビジュアルが強く、オリジナリティが高いものが跳ねるとわかった。
コーセーは、雪肌精のロイヤリティを高めるため「母から娘への応援メッセージ」を募集して、ブランデッドムービーを制作。同時に、TVCMの枠でも2分間のブランデッドムービーをオンエアした。どちらも、短期的な売り上げにつながることも視野に入れて制作している。
アクサ生命は、高齢の親の見守りアプリのプロモーションと、デジタル領域でのコミュニケーションを加速する目的でブランデッドムービーを制作。すべての目標指標を達成した。アプリの機能説明の動画ではなくムービーを制作した理由は、長期的にエンゲージメントを醸成するためである。
カナダ観光局は、コンテンツマーケティング「カナダシアター」で、テレビ局や新聞社などのメディアから提供されたコンテンツを配信している。最近ではIMAGICA TVとタイアップして、ドラマ「モザイク-カナダ-」を制作。ねらいは視聴者に感情移入してもらい、カナダについてより深く知ってもらうことである。

 


 

アウディジャパン株式会社 マーケティング本部 井上大輔氏

 

audi

 

まず一つ目の事例として、Audiのスポーツカーブランド「Audi Sport」の3.2CMを紹介したい。

このテレビCMを制作した目的は3つ。まずは、Audi Sportのスーパースポーツカー「R8」が加速して3.2秒で100km/hに到達するエンジン性能(0-100km/h加速)をPRすること。そして、テレビCMのほとんどが15秒という中で、3.2秒という短尺の展開による話題化を狙って制作した。さらに、YouTubeでの広告展開を考慮して、視聴者が耐性を持っていると考えられる5秒以内に「全て終わってしまう」CMを配信したいという意図もあった。

記事広告なども展開し、ホリスティック(全体論的)なブランド体験の創出を意識した。

 

次に、Audiのドイツ本社が制作したブランデッドムービー「Audi-The Comeback」の日本でのプロモーション展開事例を紹介する。

自動運転がテーマであるこの動画に日本語字幕をつけて公開すると、SNS上で自動運転とAudiを関連づける投稿が有意に増えた。自動運転は、Audiにとって重要なブランドイメージである“先進性”を関連づけるキーワードであるため普段からソーシャルリスニングでモニタリングしているが、この事例での効果は顕著だった。こうした本社制作のCMに関しては、制作段階からコミュニケーションを設計することは難しいが、ソーシャルリスニングを元にしたユーザーの反応をみて、動画広告や記事広告などの広告配信プランを決めることで、広告プロモーションの効果を最大化できると考えている。

 

ほかにも、制作会社と直接やりとりして自社制作しているコンテンツのオウンドメディア展開も実験的に開始している。コンテンツ作成から流通まで、自社で100%コントロールできるため、どういったコンテンツの反応がよく、どのような編集をすればより顧客との接点が広がるかなど、グロースハックにつながるノウハウを蓄積できることが大きなメリットである。

 

ホリスティック(全体論的)なブランド体験を重視する理由について質問が出た。「ブランディングやマーケティングを考えるうえで、一般的にマーケッターはタッチポイント目線で考え、「これだけの人数にリーチできた」という発想をする。しかし、顧客目線で考えれば、ブランド体験には街中でAudiの販売店の看板や走行中のAudi車を見るなど、マーケッターが把握しきれないブランド体験も含まれるため、ブランデッドムービーに関してもブランド体験の一部であると捉えて、ホリスティック(全体論的)なブランド体験を重視したコミュニケーション設計を意識している。

 

 

 


 

株式会社コーセー  宣伝部 宣伝企画・PR課 小林祐樹氏

 

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発売31周年(2016年時点)を迎える雪肌精は、SNSに「親子3代でつかっている」などの書き込みがあり、雪肌精が家族の絆をつなぐきっかけになっていると実感した。こうしたメッセージを動画にしてロイヤリティを高められないかと考え、「家族の日(11月第3日曜日)に、大切な人へ雪肌精を贈ろう」というキャンペーンの中で「母から娘への応援メッセージ」を募集。それをもとにブランデッドムービー「母娘のきずな|Documentary movie First Dance of a Maiko」や「結婚式に送る母から娘へのサプライズメッセージ」などを制作して公開した。

 

 

こうしたムービーは、長期的なブランディングだけでなく短期的な売り上げにも貢献できるように意識して制作している。たとえば「母が娘に進める=安心安全なブランドだ」という理解が、購買につながることを目指している。なぜなら、雪肌精は発売当時から成分をほとんど変えていない。発売当時は、和漢植物を原料に青いボトルを使ったことで注目を集めたが、現在では成分的な目新しさはない。そのためTVCMでもブランディングを重視。ブランド認知は90%近く。スキンケアブランドの定番としての安心感を醸成する。

 

ロングセラー商品の雪肌精の動画プロモーションは、新商品の場合とどう違うかと質問があった。答えは「雪肌精のように認知度の高いブランドは、たとえばYouTubeで動画を流す際には完全視聴率を KPI とします。一方で認知度がそこまで高くないブランドは再生回数やフリークエンシーを第1 KPI としています。その分、そういったブランドは冒頭に最低限伝えたい情報を置くように意識しています。」

 

 

 


 

アクサ生命保険株式会社  マーケティング本部 

ブランド&クリアコミュニケーション課  関原真理子氏

 

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同社では2016年ブランデッドムービー「親子の時計」を制作した。

ターゲットは親と離れて都会に住む3050代の子世代。親のことが心配だが、十分な時間を取れずケアができない人に、「親を見守り、家族同士の心の距離を近づけるソリューションがある」と伝える。併せて、同社にアプリを通じた革新的なソリューションがあるというブランドイメージを醸成することもねらった。ブランデッドムービーはYouTubeでも配信。作品の最後にカード機能を利用して、アプリのランディングページにナビゲートした。このページでは、“「家族のつながりを大切にしたい。」その気持ちを支えます。”というメッセージを伝えた上で、「アーユーOk?」の説明を行っている。

 

「アーユーOk?」の機能を説明する動画ではなく、あえてブランデッドムービーを作った理由について質問があった。「保険という商材の特性上、“この保険が好き”とはなりづらい。ブランデッドムービーを制作することでエンゲージメントの向上をねらうと同時に、共感だけでなく、何か気づきを得ることで自分事化して、アクションしてほしいというねらいがあった」

 

 

 


 

カナダ観光局 日本地区代表 半藤将代氏

 

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カナダ観光局のミッションは、カナダへの観光促進である。カナダの魅力は「豊かな自然」というイメージがあるが、ほかにも魅力があることをストーリーで伝えるため、2015年に「カナダシアター」をオープンしてコンテンツマーケティングを開始した。その背景には、2017年がカナダ建国150周年にあたること、またカナダ旅行者の若年化とハイエンド化が進み、体験型の旅を紹介する必要性が高まっていることがある。以前、カナダ観光局の宣伝予算がゼロだった時期があり、BtoBの活動が中心で旅行会社の支援や、PR活動のためにカナダ番組の誘致などを行っていた。最近ではSNSによる情報発信も増えていたが、これをひとつにまとめコンシューマーへのアピール力を増すためにも、カナダシアターを活用しようと考えた。

カナダシアターはテレビ局、通信社、新聞社、雑誌などのメディアから提供されたコンテンツを集めてスタートした。第三者からのコンテンツであるため、客観性・信頼性があるということでアクセスが増えた。最近はテレビ局や雑誌社と協力して企画を作り、番組や誌面の完成後は、カナダシアターに提供いただいている。そのひとつがIMAGICA TV制作のドラマ「モザイク-カナダ-」だ。カナダ観光局員の新人社員が150周年の企画を任されたという設定で、カナダの本当の魅力を10のテーマで探っていく連続ドラマである。

 

ドラマ形式でコンテンツを制作した理由について質問があった。「ドラマにすれば、視聴者に感情移入してもらえるだろうと考えた。また、オーディションで選んだ新人女優が、体当たりで、カナダがどんな国なのかを探っていく姿に刺激されて、視聴者も一緒に考えてくれるようになるのではないか。その経験は、カナダをより深く知ってもらうための、よい機会になると考えた」

 


 

第1回ブランデッドムービー研究会レポート「Vol.3~企業のケーススタディ:大塚食品、ネスレ日本、パナソニック、コールマン~ブランデッドムービーという手法/具体的な制作、運用、検証方法について」はこちらから。

 

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